アヤは、水晶の鏡の前で精神を集中させていた。

けれど、ヒロちゃんと思われる羽獣は何処かへ消えてしまって、映るのは洞窟内だ。
男の人と目が合った。
どこか中性的なその人は、僕をじっと見詰めている。
グレーの瞳に見詰められて居心地が悪くなる。

まるで、僕が見ているのが向こうからも見えるみたいに。 まさか・・・ね。
その人は、すっと片手を上げて、そのまま映像ごと消えてしまった・・・えっ!!




それきり、水晶の鏡は、僕が神経を集中させても映らなくなってしまった。
はぁ・・・
あの人・・・誰だろ綺麗な人だったけど、でも僕の知り合いじゃないし。



うーん・・・と伸びをして、ブルッと身震いした。
気分転換してこようっと。





僕は先程居た巣穴の上の階段を登り始めて、探検し始めた。
巣穴のすぐ上にある横穴に入り込んだ。
奥までずっと続いている。 ここは、何のための穴かなぁ。


足元がゴツゴツしているのは、ちょっと嫌かも。
急に大きな空間に出た。 明るい・・・何?




目が慣れて、周りを見ると、バラに良く似た花が咲いている。 ギョッとした。
バラでないとわかるのは・・・バラが動いている・・・根っこが足のように蠢き歩いている。
赤や黄色やオレンジ、ピンク、朱色・・・色とりどりのバラの大群だ。
呆けてその場から動けなくなってしまっていた。




バラ達が僕を見つけたらしくワラワラと寄ってきた。
げげっ、僕は後退した・・・が、追いつかれて囲まれてしまった。
バラの花は僕に向かって香りをいっせいに吹きかけた。




ケホケホっ、何・・・これ・・・
僕の周りに一陣の風が集まり、バラたちをなぎ倒した。
あちこちから悲鳴が上がる。



悲鳴はバラ達があげているようだ。
煙くて、咳き込みながら目を開けると、バラ達が必死で飛ばされないように、
岩に掴まっているのが見えた。





僕の周りの風を落ち着かせ収めると、バラ達の言葉は僕の頭に直接流れ込んできた。
(あぁ、ビックリした。 誰よ乱暴なんだから!)
「あ、アヤみやー、ごめんみゃー・・・僕アヤみゃー」



(アヤ? あなた新しく来た巫子なの?)
「そう。 僕ここの洞窟で修行中みゃ。 君たちは、みゃみ」



(私達は、バラミュース うーん簡単に言っちゃうと魔草よ。 色で効能が違うの。 人間界には生息していないけどね)


「そうみゃんですか」
(黄色:フォイシアは石化、ピンク:フォータは水柱、赤:ファイティアは火炎 オレンジ:フィンディア竜巻、朱色:フルーペ 千里眼よ)


「・・・そう・・・みゃんですか」
魔草って何?とは聞けなくて・・・でもなんだか物騒な花のようである。




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